文/赤峰幸生 Essay by Yukio Akamine
30年程前、はじめて益子参考館に行った時、入り口に掲げてある、創立者、浜田庄司の言葉「その品に出合って驚くことが始まりで、その品から受けたものを忘れ去ったのちに自分の本当の芽が出て、それが答えだと思います」に、感銘を受けました。
この一言を読んでから、真の服づくりを目指す一人として紳士服の原点である英国各地を訪ね、いくつものその品(服)との出会いを求めて旅を繰り返して来た若い時代がありました。
産業革命以降、英国が服地や編み物は申し上げるまでもなく様々な服作りにおいての基準を作り、軍服の型や貴族階級のひまつぶし着(スポーツスタイル)が今尚時代を超えて脈々と受け継がれていることを知り、クラシックの本質とは何か判った気がします。
日本もまたこれまでの表層的ファッションやオシャレの時代が終わり、日本人の持つ特有の美学とは何かに正面から向き合うべき時代を迎えています。