新梅田食道街 喫茶YC

COFFEE HOUSE YC UMEDA,OSAKA

写真・文/織田城司 Photo & Essay by George Oda

新梅田食道街の「喫茶YC」は、商用で梅田を訪れると、休憩と打ち合わせを兼ねて必ず立ち寄るお店である。おいしい珈琲と昔ながらの雰囲気が好きで利用している。

そもそも屋号のYCとは、業務用珈琲豆メーカー山本珈琲株式会社のイニシャルに由来し、その直営店の開業は1968年(昭和43年)までさかのぼるそうだ。

なるほど、店内の演出はコーヒーを連想させるダークブラウンの木材と手仕事感を残した白い塗り壁、たくさんの挽き豆道具のアンティーク、ブラジルの演奏家によるものと思われる昔のモダンジャズのBGMなど、いかにもコーヒーに精通している人たちならではの想い入れが感じられる。

しかしながら、値段は決して高くなく、気軽な喫茶店として幅広い客層が利用している。メニューのコーヒーはブレンドとストレートに大別され、個々のアイテムはそれぞれに酸味、苦み、コクの度数がコーヒー豆の数で表記されている。中途半端な調理物に手を広げていないところも良い。

コーヒーの道を研究しながら、気取ることなく、一般の人にわかりやすく伝えようとしていることに好感がもてる。それゆえ、長年人々に親しまれているのであろう。