初詣 成田山

PRAYING FOR NEW YEAR IN NARITASAN SHINSHOJI TEMPLE ,CHIBA PREFECTURE

写真・文/織田城司 Photo & Essay by George Oda

年末年始の過ごしかたは国によって異なる。

洋画でも年末年始を背景にしたものは多く、古くは、離散した一家がクリスマスに集まる葛藤を描くイタリア映画『鉄道員』や、アメリカ映画では、クリスマスの仕事仕舞パーティーを開くオフィスに押し入るテロリストを題材にした『ダイハード』が記憶に新しい。

知り合いのイタリア人に年末年始の過ごしかたを聞いたところ、日本で言うクリスマスイブまでに、ふだん離散している家族が親もとに集まり、25日に皆で教会に行き、新年は2日から働くということであった。

我が国の官公庁や企業の大半は、正月三が日は年神様とともに御節料理を食べるという伝統行事を重んじるので、年末年始を休業とすることが多い。家で年神様の来訪を待つだけではなく、自ら社寺に参拝することが江戸中期より広まったのが初詣の由来だそうだ。

千葉県の成田山新勝寺は千年以上の歴史のなかで、参道に作られた参拝を盛り上げるたくさんの演出が見事である。

本堂で拝んだ参拝客は、さらに縁起物や記念品をもとめて参道にむかう。コンサートの後に、会場出口でCDやTシャツを買うことのルーツを見るようだ。

初詣は子供の頃、親に連れられて意味もわからず寒い中を行列することに閉口した思い出がある。今は元旦の日があっという間に暮れてしまうまでに、日本の正月らしいことが少しでもできて良かったと思うようになった。