双葉の竹豆腐

BANBOO TOFU OF FUTABA NINGYOCHO,TOKYO

写真・文/織田城司 Photo & Essay by George Oda

日本の食生活に大豆はなくてはならない。毎日使う醤油や味噌、豆腐などの原料となる。

人形町の甘酒横丁にある双葉は1907年(明治40年)の創業以来豆腐一筋の専門店である。

店内には豆腐のほかに、油揚げ、がんもどき、納豆、ゆば、おから、豆乳があり、豆乳を使ったソフトクリーム、ドーナッツ、プリンなども置く。商品を広げるにしても、脈絡のない物を置かず、大豆の魅力を徹底して追求する姿勢がよい。その品ぞろえは見ているだけでも楽しく、豆腐屋というより大豆のテーマパークだ。唯一の例外は甘酒だが、甘酒横丁だから納得する。

中でも目を引くのが竹豆腐だ。本物の竹を使った器に豆腐を凝縮する独創は見事である。竹の器を手に持ってスプーンで豆腐を食べるスタイルはアイスクリームを思わせるが、味つけは洋風ではなく、あくまで豆腐の味で、バリエーションも絹、ごま、ゆずと和に徹しているところに不思議な和洋折衷感を体感できるミソがある。どれも濃い大豆の味がして、食後に器の用途を考える楽しみまでついた。

専門店の品揃えと発想法として学ぶべきことが多い。

のれんにかかげた簡潔なメッセージと古風な文字が専門店を感じさせるが価格はあくまで庶民的だ。日常使いできる老舗はうれしい存在である。