CAR STEREO
写真・文/織田城司 Photo & Essay by George Oda
赤峰幸生氏に、車を運転する時の音楽の楽しみをうかがいました。
赤峰氏
「最近、車の中で聴く音楽はクラシックが多い。もっぱらロッシーニの『セビリアの理髪師』だね。フェリーニが監督した映画『8 1/2』のなかで、マルチェロ・マストロヤンニが『パパラ、パラ』と、口ずさむ曲だ。あの映画の主人公を気取っているのではなく、曲そのものが気に入っている」
赤峰氏
「もちろんポップスも好きで聴きますよ。クラシックというと、いかにも堅苦しくて高尚な印象があるけれど、時としてポップスを超えた良い気分が得られることがあり、飽きがこない。だからクラシックなのだろうね。
気取ってクラシックを聴いているのではなく、私の場合は、自分の気持ちを落ち着かせたり、リズムカルにする時に役立つ。ポップスを聴くような気分でクラシックを聴く。そんな感じですね」
赤峰氏
「自分の車の中で聴く音楽は、ラジオをつけっばなしにしないで、自分のコンディションや耳に心地よいものを選びたい。
今日は何が食べたいといった舌の感覚や、服をどのように着たいと思う感覚と似ています。
季節の気分もあるし、一日の中でも、朝、仕事に向かう時と、夜、仕事から帰る時で曲調はかわる。
ある意味、その人にとって適温の空調と同じかもしれませんね」