ライト館のオブジェ

写真・文/織田城司 Photo & Essay by George Oda

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旅で感じる異国情調は風景や食事のほかに、宿泊先の内装も楽しみのひとつだ。そんな想いに答えるために、あるいは裏切るために、ライトは日本の国際ホテルのデザインを西洋人や東洋の人にも非日常的空間を演出する、架空の古代遺跡をテーマに仕上げた。

このオブジェはその正面玄関に鎮座している。ホテルの内装もここに見られる謎の連続模様で装飾され、不思議な迷宮に入った感覚を憶える。戦後、プロモーションで来日した、チャップリンやマリリン・モンローなどのハリウッドスターはこのホテルに宿泊して、さぞ驚いたことであろう。無機質な世界標準のホテルが多い昨今、このような独創的なデザインアプローチが再評価されている。

ライトは壮大なテーマを扱いながら、随所に日本の大谷石を使っている。こういう和の表現もあり、という目線がすごい。

帝国ホテルのライト館は大正12年(1923年)に開業して、老朽化のため昭和42年(1967年)に閉鎖され、正面玄関とロビーの部分が昭和51年(1976年)に愛知県の明治村に移築された。

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