文/赤峰幸生 Essay by yukio Akamine
写真/織田城司 Photo by George Oda
私が最初に文京区白山のジャズ喫茶「映画館」を訪れたのは15年程前、店のもう一匹の主人はジャズを聞く猫。店内は60年代
からまったく時が進んでいない空間がお気に入りだ。
私の学生時代は、渋谷道玄坂の途中を右手に曲がった百軒店の奥に、ディグ、ブルーノート、スイング、オスカー、ありんこ等がひつめき合い、マイルス・デビスやブルーベックやアート・ブレイキーを毎日の様に授業をさぼっては聞いていた。近くの恋文横丁のラーメン屋眠眠で食べ、さかえやという米国の流れ物のペンドルトンのジャケットやヘインズのスェットシャツに金もないのに袖を通しては、感動した時代であった。
伊丹十三さん、加藤和彦さんも時々顔を出していた憶えがある。時代全体がモノクロで懐かしい古き良き時代。こんなイメージを今でも続けてくれているのが、ジャズ喫茶「映画館」。