色の身だしなみパリ

写真・文/赤峰幸生 Photo & Essay by Yukio Akamine

9月15日パリ到着。ルクセンブルグ公園の木立も早や色づき、冬の装いだ。思わず「枯葉」を口づさんでしまう。

緯度の最も高い所に住むラテン系フランス人はCHICという言葉に代表される繊細な感性の持ち主だ。例えば計算された都市計画、街並み、街路樹の美しさやセーヌ川にかかる橋、公園のデザイン、惣菜やケーキ、カフェ等々、衣食住のどれをとっても実に繊細で限りになく「美しい事」とは何かを捉える完成は長い歴史の積み重ねが生んだものだと思う。

中でも「色」に対する意識は人一倍強く、色の相性やコントラストの使い方などには目を見張る事が多い。

今日9月17日はヴァンドーム広場の一角で170年以上もシャツ屋を営んでいるシャルベ本店に出向いた。予め用意した京都西陣のネクタイ生地が差帳のコルバン氏の目に叶うか問いたくて持参したが、残念なことに急用で不在であった。

シャルベといえばシャツとネクタイが本業だが、私が常日頃から大納得しているのがスカーフサイズからポケットチーフに至る様々なサイズの無地コレクションだ。有に100色は超えるチーフの絶妙な色を見る度に粋な着こなしの基本は「色」にありを感じている。

そういえば、江戸の頃の色合わせも無地と無地。現代日本の身だしなみはどこに行ってしまったのだろうか。