West of England Flannels is perfect for Jackets and Suiting

写真・文/赤峰幸生 Photo & Essay by Yukio Akamine

ご存知FOX BROTHERSといえばFlannels(フランネル)。私がFOXのフランネルでブレイザーを作ったのが、1970年。約40年程前の事。自由が丘の2LDKのちっぽけなマンションを事務所として、㈲トラッドを作り、ブランド名WAY-OUT but classicを立ち上げたのが、28歳の時だった。横浜馬車道の信濃屋の白井さんの自宅に押しかけては夜明けまで英国生地を見分けながら、様々な話をしたことが懐かしい。

生地1メーターあたりの重さが480gあるヘビーフランネル。今は平均240gだから約、2倍の重さがあるどっしりとした生地である。通常ドライタッチといわれる乾いた手触り感の横糸をしっかり打ち込んでいるため、少々の事ではへこたれない一生物のブレイザーを作った事を憶えている。

当時はシトロフォン社のフランネルか、フォックス社のいづれかがフラノの双璧で、形は3ツ釦返りのパッチ&フラップポケットでフックベントだった。工場はリングジャケット貝塚工場で釦はロンドンバッチ&ボタン社を使用した。

2012年の素材テーマはLONDON OLYMPIC 1948とCARY GRANT。オリンピックは言うまでもなくホワイトフランネルとレジメンタルストライプ。ケーリーグラントは彼の着る様々なスーツにフォーカスして柄を復刻している。

正に本家のジェントルマンズ達がロンドン市内を歩いた往年の古き良き時代を再現している。いつもながらFOXの生地を見ると男の立ち位置の中で変えてはいけない不変的な物や事を感じると同時にTREND(トレンド)という時代性の変化に敏感な現代、ゲームのごとくトランプ総取り替えを繰り返す事が本当に正しい事なのか、逆に変えない事こそが今のトレンドではないかと思いつつスタンドを後にした。