銀杏のジャケットを想って

文/赤峰幸生 Essay by Yukio Akamine

江戸末期の頃の髪形は、 女は銀杏返しや銀杏崩し、男は銀杏頭と呼ぶヘアースタイルが流行だった。

2012年秋冬の生地やモデルを仕込んでいる今の私は、毎日事務所から見える神々しいほど美しい黄色の銀杏を眺めながら色々と考えている。

例えば、ツィード一つにしてもハリスの糸かドニゴールタイプかシェットランド糸かを銀杏の色を見ながらこの素晴らしい黄色をどの様に使うか考えたり、モデルについてはジャケットでも袖口を折り返したターンナップ型を銀杏返しに、コーデュロイジーンズとの合わせを銀杏返しに見立てたりと、想いめぐらす師走のこの時期である。