無藝荘の水切り棚

写真・文/織田城司 Photo & Essay by George Oda

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無芸そう

日本を代表する映画監督小津安二郎は蓼科の山荘に無藝荘と命名して、
毎年通いながら盟友野田高梧と名作の脚本を執筆した。

その無藝荘の台所で気になったのがこの水切り棚。味わいと存在感は十分だが、よく見ると機能的にも優れている。洗った食器の水を木材が吸収して、斜めの切り込みから発散させるしくみだ。側面には乾燥を促進する採光と通気のための四角い穴も開いている。こういう感覚は日本人独自のものだ。

小津監督はここに大好きな日本酒の器を干していたことだろう。