フィレンツェの街並みを見て想うこと

写真・文/平田元吉 Photo & Essay by George Oda

1月8日から1年半ぶり2回目のフィレンツェに来ています。今回は一人でアルノ川近くの小さなホテルに滞在。到着時、フローレンス空港からバゲージが出てこないアクシデントもありましたが、翌日の夜にホテルに届きホッとしております。

フィレンツェの街並みを見ると、石で作られた道や建物に昔から引き継がれてきた伝統や統一感を強く感じさせられ、東京の街並みのごちゃ混ぜ感というか、ポリシーのなさ感を思い出さずにいられません。

原宿や秋葉原位まで振り切ってしまうとそれはそれで尖っていてよいのですが、ちょっとターミナルをはずれると現れるグレーやベージュ中心の中途半端ななんちゃって洋風の感じがとても嫌いです。

そういう我が家もベージュ系のなんちゃって洋風なので、もし次に家を建てることが許される状況がきたならば、外見や内装は純日本風でいて中身は最新のテクノロジーが詰まった家に住みたいと思っています。

一度文化をリセットさせられた国だからかもしれませんが、日本橋の上に高速道路を作るような感覚は明らかにおかしいし、街の景観やポリシー設計は日本や世界を理解しバランス感覚のある人がきちんと進めていかなくてはいけないなと。

街に溶け込む「店」についても、職人が自分で作って売っているような店や個人商店的な店が多い印象を受けました。作っている人の顔が見える感じというか、俺が作っている(仕入れている)んだぞというようなポリシーを店づくりや対応に感じるので、これは金太郎あめを切ったような店ばかりが並ぶ日本も学ぶべき点だと思います。日本以外でも昨年9月にオーストリアのリンツに行ったときにチェーン店が多いなあと感じたので、日本以外にも当てはまることかもしれません。

経済状況を見るとイタリアがよいとも言えないのですが、たぶん必要なのはバランス感覚で、全部個人商店方式がよいというわけでなく、たとえばあるカテゴリーで流行が起こると、過去のスタンダードなものがすべて消えてなくなってしまうという日本の土壌が問題で、伝統のある良いものは守っていくという姿勢がないと薄っぺらい文化しか残せなくなってしまいます。

フィレンツェは街並みがそういった気質を守っているのかもしれませんね。

と思いつきで書きましたがまだまだ理解不足の部分も多々あるので、これからも色々な文化を吸収していきたいと思います。